夜をすり抜けて

こっちを見ないから安心して横顔をウォッチングしていたら、サイドを確認するのか不意にバッとこっちを振り向いて、わたしは思いっきし動揺する。お、わわ…


「ト、トラックの運転席って高いんだね。
お父さんの車とは景色が全然ちがうな」


なんて上ずった声で言ってみたりする。


「そっか? はは、よかったな」


ふん、向こうはやっぱ余裕で子供扱いだ。


ま、いいですよ。別にね。





それにしてもすごい解放感だった。


東京を離れて
わたしのことを知ってる人は誰もいなくて
おまけに明日は学校へ行かなくてもいい…!


自然とテンションが上がる。


もはや遠足気分だよ。

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