どうしてしなきゃいけないの?
口癖


「どうしてしなきゃいけないの?」


それは、彼女の口癖。


「好きだから」


僕は、いつもそう答えるのだけど、


僕より3つも年下の彼女は、そんな答えじゃ納得してくれない。


「そんなのは答えになんかなってないよ」


彼女は口をとがらせる。


そして、指を折りながら、1つ1つその根拠を挙げていくのだった。


「それならばどうして男の人は風俗に行くの?どうして男の人は性犯罪をするの?」


大きな目をくりくりさせて無邪気な表情で尋ねる質問は、僕をいつもたじろがせた。


そんな僕に追い打ちをかけるように、彼女は言葉を重ねる。


「好きっていう気持ちだけで、エッチしたいんじゃないんでしょ?」


答えの見えるその疑問に、反論の余地はない。


答えに窮する僕に向かって、


いつも彼女はこう言い捨てて、


僕の部屋から出て行ってしまう。


「ちゃんと答えられないなら、エッチ、私はしないよ」


吐き捨てられたセリフは、


いつも僕を落胆させた。





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