とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
聞いていたミーシャの方が恥ずかしくなって『あの…』とおずおず声をかけた。
『ここ外なんで、せめて中に入って下さい…』
忍は我に返ると『ゴメンなさい!』とミーシャに謝った。
『うちの馬鹿が本当にお世話になって…』
そう挨拶をする忍を右京が何か言いたそうに睨んだ。
コーヒーを淹れようとするミーシャに『手伝うわ。』とキッチンに並ぶ。
『あの…ウキョウとはいつもあんな感じなんですか?』
『ああ…いつもじゃないけど、喧嘩はよくするわよ?』
『あんまりウキョウが怒ってる所…見たことないから…』
そう言ってちょっと照れたようにミーシャが俯いた。
『ミーシャ。右京ほどキャパシティの狭い男は居ないわ…』
向こうの方で『聞こえてんだよ!』と右京の声が聞こえて忍は溜め息をついた。
『アレが彼の普通よ。』
『はぁ…何か…もっと仲いいのかと思ってたから意外…』
『悪くはないわよ?ただ…』
真後ろに気配を感じたかと思うと耳元で「それ以上暴露しないでくれ」と言う囁きと首筋に柔らかい感触を感じて振り返った。
「もう!それが原因でしょ!?」
クスクスと笑う右京を見てミーシャは顔を赤らめた。