とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~

手帖







枕に顔を埋めてスヤスヤと眠る右京を眺める。



長い睫毛…細く柔らかい銀髪…逞しい筋肉…




こうして見ているだけなら自分の知っている右京そのものだった。




忍は彼の髪を撫でる手を背中へと移動させた。



抉られた、凹凸のある背中…



その傷は腰の辺りまで左右対称に刻まれていた。



それを見る度に胸が痛む。




忍はその傷痕にそっと口付けを落とすと右京を置いてベットから這い出た。




近くにあった右京のシャツを羽織ると、暗い室内を裸足で移動して自分のバックから手帖を取り出した。




静かにベットに戻ってスタンドの灯りを頼りに手帖を開く。




今年から一回り大きいビジネス用の飾り気がない手帖に変えた。



可愛くはないが、これがなかなか使いやすい。



仕事やプライベートの予定を書いてもまだスペースが余るので、そこにその日の出来事を簡単に書き込む様にしていた。



つまり忍の手帖は日記帳を兼ねている。




栞代わりに挟んでいるのは相変わらず右京の“羽根”だ。




今日の欄にペンを走らせる。



“ユーリの妹弟、ミーシャとコーディに対面。”


少し考えてその下に付け足す。



“─右京、暴走。一瞬別人の様…チカラ、復活。少し自暴自棄─”




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