とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~



小さく唸って自分の身体を抱く様に項垂れるウキョウにコーディが気付いた。



『ウキョウ!?だ…大丈夫!?』


『ッ…!…大丈夫だよ…』



全然大丈夫そうじゃないウキョウをコーディは心配そうに覗き込んだ。



『背中…?傷が痛いの?』



『…すぐ治まる…』



荒い呼吸をなんとか整えて激痛をやり過ごす。



司祭の説教に紛れて外から甲高い鳴き声が聞こえた。



それを聞くとウキョウの脳裏に教会の記憶が一気に溢れ出した。



『…キリストは哀れな人間だ…』



『…ウキョウ?』



『大丈夫。治まったよ…』



顔色も元に戻ったウキョウを見てコーディがホッと胸を撫で下ろした。




『ちょっと外の空気を吸って来る。…すぐ戻るよ…』



そう言って静かに教会の外へと逃げ出した。




ウキョウは教会の壁にもたれてズルズルと座り込んだ。



空に旋回する鷲が見えた。



ウキョウが口笛を吹くと鷲が高度を下げた。



『バージ…おいで…』



ウキョウの声が聞こえたのか、バージはゆっくり彼の腕に舞い降りた。




そしてバサバサと地面へと降りるとピュィと可愛く鳴いた。


それにウキョウは小さく微笑むとバージを撫でた。



< 18 / 461 >

この作品をシェア

pagetop