とある堕天使のモノガタリⅢ ~ARCADIA~




そう言う忍に右京は「そう言う事だよ…」と頭をコツンと付けた。



「クミも認めたくないんだろ…だから愚痴ってる部分もあると思うぜ?」



忍は「そっか…」と納得した様に頷いた。




「…ねぇ、右京。もし右京がクミの立場だったら?…認められる?」



「認められる訳ねぇじゃん。」




右京は家の前で立ち止まって忍と向き合うと目を細めた。



「認めないし、そうならない様に日々努力する。…忍は俺のモノだから絶対に誰にも渡さない。」



忍はちょっと驚いた様に目を見開いた。




「…右京の口から“努力”なんて言葉が出るなんて…感動した!」



「………待て…感動する所、違くねぇか?」



忍は笑って「違くないわよ!」と言いながら門を潜った。




玄関までの中庭を行く忍の背中に「お前は?」と右京は声をかけた。



「忍がクミの立場だったら?」



「…私は…認めたくない。けど、自分にそこまでの自信がない…かな…」



「俺にこんなに愛されてるのに?」



「多分、その愛が永遠だって保証がないからじゃないかしら…」



右京は忍をギュッと抱き締めて「…不安?」と耳元で聞いた。




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