とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
眠りに落ちる寸前で『あ~そうだ』と思い出した様にバジリスクを見た。
『その姿…目立つらしい…。人間で今度から来い。』
─人間…ですか…?
右京が『ん…』と短く言うと、バジリスクの輪郭がボヤける。
銀髪の美少女に姿を変えたバジリスクを見て右京は『それでいい』と呟いた。
『おいで…久しぶりに一緒に寝よう。』
バジリスクは『はい』と微笑むと素直に右京の布団へ潜り込んだのだった。
右京はバージを起こさない様に携帯を持ったままベットを出た。
怒ってるだろう忍になんて言おうか考えながら電話をかけた。
「…忍?さっきごめんね…?ちょっと寝ぼけた…」
「で?…なんだったの?」
右京は素直に「実は…」と説明した。
「バジリスクに人間の姿で来るように言ったのを忘れてた…」
「確か…可愛いんだったわよね?」
「忍には劣るけどね…」
そう言うと「調子いいヤツ」と忍は笑った。
ふと入口に現れたニックが視界に入った。
電話中の右京に『よぉ』と挨拶をして仕事用のデスクに座る。
「昨日は何で電話してきたの?何か話したい事あったんでしょ?」
「…そうそう…最悪だったんだよ。」
忍と話す右京の向こうでニックは何かを探しているようだった。