とある堕天使のモノガタリⅢ
~ARCADIA~
『なぁ、ジェイ。ジュリアってさ~…何処と無く忍に似てるよな?』
『そうか?…髪の色くらいしか思い当たらないが…』
そう答えてからジェイクはニヤリッと笑って右京の耳元に顔を近付けた。
『あ~…なるほど。ああいうのが好みか~…』
『ちがっ…!そうじゃねぇよ!』
『嘘つけ!“一発やりてぇ”って顔してるぜ?』
思わず『えっ!?』と自分の顔に手を当ててしまうとジェイクにゲラゲラ笑われた。
『いいぜ、黙っててやるからテイクアウトすりゃーいいじゃん。』
『なんだ、その悪魔の囁きは…。』
『お前は真面目過ぎるんだよ!深く考えんなって~。溜まったらヌく!それだけだ。』
『…お前に聞いた俺が間違いだった。』
昔ならこんな事は無かったのに、最近の自分はおかしい。
『そう怒るなって!人間なら普通そう考える事があって当然だ。』
─“人間”なら…な。
だが自分は残念ながら“人間”じゃない。
かと言って今となっては天使や堕天使とも違う。
『浮気の一つや二つ、男なら誰だってするぜ?』
“浮気”というキーワードに右京のテンションが急降下する。
今の右京にその言葉はNGだ。