チェリーガール
悔しそうに唇を噛みしめるERENA。


私も悔しい。


雪には、かなわないんだもん。


「もう帰ってくれ」


ERENAだけ見つめて、そう告げる碧様。


「嫌! 雪に会わせてよ! じゃないと、帰らない! 私、帰らないよ。ずっと、ここにいるから」


「警察に電話する」


「警察!? それは私を突き出すってこと?」


「そうだ」


「そ、それは待って……」


「いや、待てない」


「わかった。帰る。今日のところは、雪に会わず帰る。でも、せっかく用意したプレゼントだけは受け取って。海外から直輸入した高級チョコだよ」


箱の中身は高級チョコだったんだ。


さすがは、モデル。


バレンタインに外国から取り寄せたチョコレートを持ってくるなんて……。



「いらない」


碧様が冷たく突っぱねる。


「そんな……。ひっく……ひっく……んんん……グズグズ……」


ERENAが泣き始めた……。


強い人だと思ってたのに……。


よっぽど碧様の彼女の雪の存在がショックだったんだろうな……。


強気な彼女がこんなになってる……。




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