チェリーガール
本気だった。


いつだって真剣だった。


がむしゃらに碧様だけの方を向いて走り続けた。


一途に……。


ただ、一途に……。


あの人だけを見つめて……。


でも、どうにもならないんだ……。


もう、泣いたって事実は変わらない……。


この恋は、実ることなく終わってしまったんだから……。




私は泣きじゃくった。


しゃくり上げて泣いた。


「う……う……ぐっ……うう……うわ―――――っ!! いや―――――!!」


最初は、声を殺していたけれど我慢できなくなって声を上げて泣いた。

痛いよ。

痛いよ。


誰か、この胸の奥の激しい痛みを取って。


すごく痛いんだよ……。

痛いんだよぉ……。



碧様が手を差し伸べてくれたら、一生誰とも恋愛できなくていい。


他に何もいらない……。


そう思えるくらいの恋だった。


ただ、碧様だけが私のすべてだった。


私の人生だった。


この恋が叶わなかったなら、もう恋なんてどうでもいい。


いらないよ……。


私は、このまま一生チェリーガールでいい。


もう、いいんだ……。
 


< 169 / 202 >

この作品をシェア

pagetop