チェリーガール

恋モード♡

うろこ状をなしてひろがる、いわし雲を仰ぐ。


今年の夏は、猛暑日が続いて地獄だった。


でも、今は気温が快適。


空気も澄んで、すがすがしい風が私の髪を優しく撫でる。


「涼しくなってよかったね。過ごしやすくなったよ」


さっきまでジャージを着て
体育のバレーの授業にご執心だったすだちが横目で私を見やる。


「うん。それより……」


私が言いかけた時、すだちがそれを遮った。


「もう、碧君話は禁止!!」


あっけなく、ブロックされてしまった……。




あれから、私は碧様の話を毎日すだちやたまきに聞いてもらっていた。


でも、同じ内容の話を何度もリピートするので二人とも聞いてくれなくなった……。


すだちはまだやんわりたしなめる程度だけど、たまきはひどい……。


つい昨日、『今度、喋ったら口にガムテープ張るからね!!』って脅された……。


二人とも私にはうんざりのよう。


だって、好きなんだもん。


24時間延々と碧様の話をしていたい……。


私をわかって欲しい……。


更衣室から教室までの帰り道、さわやかな風に吹かれながら私たちは何の会話もせず、横に並んで歩いた。


なんてことない普段の風景。


校舎とグラウンドの間の舗装された道をとぼとぼ歩く。


校舎の中に入って、やっと眉をしかめながらすだちが言葉を発した。









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