粉雪の舞う夜
座っていただけで……。


ただニコニコ微笑みながら、皆を見ていただけだった。


修平君が言う通り彼の隣にいた女の子は、あんなに近い場所にいたのに、一度も彼を見ていなければ話てもいない。


「え?じゃあ………」


本当に、彼はあそこにはいない人だった?


5人しかいない、男の子が6人いて……。


一番隅に座っていたのは女の子で……。


彼は、私としか会話していなくて………。



その全てを知った時、私は急に体が震えだし、近くにあったベンチに倒れるように座り込んだ。


ちょっと、待ってよ!


そんなことあるわけないじゃん………。


だって、そうしたら彼は………。












“幽霊”って事でしょ?

いてはいけない存在。

見えるはずのない存在。

確かに、いたはずなのに私以外、誰も彼を見ていない。


あんなに長い時間一緒にいて、覚えてないでは済まないだろう。


ならば、辿り着く答えは一つ。


彼が、この世に生きている人ではないって事。


そして、私は“幽霊”である彼を見てしまったということになる。


それしか、考えられない。

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