君の笑顔をもう一度

「え〜っと・・・・あっそうだ!!」

 私はあることを思い出した。

 「隼人君、前に私が隼人君のこと
  雅様って言ったのって本当?」

 前に私が泣きながら隼人君の事
 を雅様って言い間違えた事。

 私はよく覚えてないんだけど、そ
 う言ったみたい。

 「ああ・・・そうだよ」

 隼人くんはボソッと言った。

 「え?それって・・・・」

 問いただそうと服に手を触れた。
 
 ―バッ
 だけど、その手は一瞬にして弾か
 れた。

 「もういいだろ・・・俺、用事
  思い出したから帰るわ」

 「え?」

 そう言うとバックを持って教室を
 出ようとした。

 「あ、そうだ・・・悪いけどこれ
  から必要以上に話しかけない
  で。 弁当もいいから」

 そうセリフを残して。

 「なんなのよ・・・・」

 よく分かんなかったけど・・・・
 隼人くんが言った言葉に胸が痛む。

 急にどうしたのよ・・・・。

 あんな怖い顔した隼人くん初めて
 見たな。
 
 自然と涙が出てきた。

 「あっ・・・やだ、どうしたん
  だろう・・今日の自分どうか
  してるな?ハハッ・・・」

 拭っても拭ってもやまない涙。
 
 本当にどうしちゃったんだろう。
 
 「え・・・おい?」

 開いた窓からサッカーの練習着を
 着た時雨くんが見ていた。

 「や・・・なんでもないよ?だか
  ら戻っていいから」

 一生懸命涙を拭いてなんにもなか
 ったような顔をした。

 それでも涙は言う事を聞かず止ま
 らなく出てくる。

 私はいそいで教室を出た。

 「待てよ!!」
 
 外から時雨くんが駆け込んできて
 体が後ろに引っ張られる。

「わっ!!」
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