君の笑顔をもう一度



 「あの~隼人君?」

 こっそりと顔を覗く。

 「いや、わりぃ一人で百面相してっから
  ・・・・・ククッ」

 あ~まだ笑ってる!!

 こっちは半ベソかいてるのに!!


 まぁ・・・・いっか。

 あっ待って!!
 じいちゃんは??

 いつもならいるのに。
 辺りをキョロキョロ見回す。

 あれ~??

 いないどうしたんだろう?
 
 「あっ、お前のじいさんなら今どっか
  行ったけど」

 はぁ~?
 もうじいちゃんったら・・・・・。

 じゃあ今日はやんなくてもいいか!!

 すると突然隼人君が聞いてきた。

 「なぁ、ここに不思議な桜の木なかっ
  たか?」


 えっ・・・・なんで知ってるんだろう?
 あの桜の木は家の奥にあって知ってる人
 なんていないはずなのに・・・・。
 
 取りあえず聞いてみるか。

 「何で知ってるの?」

 すると少し悩んで・・・・・

 「前に、来た事あるんだ。初恋の女の子と
  、それになんか懐かしいんだよなここ」

 えっ
 初恋?

 へぇ~そうなんだ。
 
 「でも、だとしたらいい事かも」

 「え、なんで?」

 疑問そうに聞いてきた。

 「この神社にある桜の木のどれかには恋
  愛運がアップするパワースポットがあ
  るって知ってる?」

 この神社にまつわる・・・。

 「ああ、知ってる。でも今までで見つけ
  た事ある人っていないんだろ?」

 「うん・・・」
 
 もちろん見つかるはずがないだって
 その桜の木は
 

 “存在しない”
 
 何ぜか・・・・。

 それは私達姫野家が知ってる秘密の言い
 伝えがあるから。

 「この神社には言い伝えがあるの」

 「言い伝え・・・・?」


 「そう、その言い伝えは悲しい恋の物語な
  の。そしてそれは私の“前世”の話・・
  ・・」
 










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