愛して野良猫

チャンス



どれだけの時間が経っただろうか


俺はいつものように

父さんの帰りを待つ


父さんはある組を潰しに行った


いつもの俺なら‥

父さんに頼み、ついて行くだろう


だが今日は……



「…チャンス」



父さんにはまだ秘密がある


浬音に与えたシナリオ以外に‥

もう一つのシナリオがあるはずだ


父さんが以前、口を滑らせた


直ぐに無かったことにされたが…


「‥浬音……俺は‥もう一つのシナリオを、必ず見つける」


浬音のシナリオ以外に‥もう一つ



「頭。何をお探しで」



俺は振り返る


そこには…父さんの『犬』がいた



「…貴様には関係のないことだ」



俺はコイツ…刃(ヤイバ)が嫌いだ


コイツは父さんの言うことしか聞かず

父さん以外の奴を下にみている



「答えになっていませんよ。親父様の部屋で何をお探しで?」


「貴様には関係ない。失せろ」


「そういうわけには、いかないんですよ、頭。何をなさっているんですか?」



刃はゆっくりと俺に近づく
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