ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜
第6章 最終回

1節 場外ホームラン

試合前、バッティングピッチャーを務めベンチに戻った杉山に谷村が声をかけた。

「何か…あったの?」。

「別に…、なんで?」。

杉山は汗を拭いながら、鼻を隠した。

「鼻をひかつかせなくても…わかるよ。全然変だよ。」。

「そっか…。幼なじみって…、分かっちゃうんだな…。でも……、それなら…。」。

「わかった……、試合後に教えて…。」。

グラウンドを見つめる杉山に話しかけるのをやめた。
< 479 / 565 >

この作品をシェア

pagetop