━ Are You Happy ? ━

■傷だらけの夜


歩きながら翔は

ぽつり ぽつりと疑問を投げかけてくる





『ナニしてたんだよ』


『えっち』


『そんな傷作るって“ナニプレイ” だよ…』


『わかんない…』


『わかんない“プレイ”なんかすんじゃねーよ…』


『ふつーに…えっちしてたんだよ…』


『んなワケねぇだろ…
切り傷だけじゃねぇぞ?

首、鬱血させといて
のうのうとしてんじゃねーぞ』











『相手は?』


『DJ…』


『そんなコト聞いてんじゃねぇよ…

“カレシ”か ってコト』


『…カレシ…かな…』




『…ったく…

バカ過ぎて
どうしようもねーな』








捨て台詞みたいだけど


どこか優しい


そんな翔が足を止めたのは


ラブホテルの前だった





ちらっと私の方を見て

またすぐ

手を引くから


それに従うと


『…ちょっと抵抗するとかないワケ?』


って…


もう呆れられることにも慣れた











『あーっ
でっかいベッド久しぶり』





いかがわしい感じなんて全くなく

白で統一された

リゾートホテルのような部屋に入ると


翔は仰向けでベッドに倒れ

ごろごろと左右に転がった





『せんせーと来たことあんの…?』


ふと

過ぎった疑問は

簡単に言葉になった


『あのさ…俺
先生しか知らないワケじゃないから…』





ベッドの際、ギリギリで

ピタっと動きを止め

私のことを睨んだ翔が

なんだか可愛くて


くすっと笑ったけど


自分のことばっかりで


翔がその時


どんな気持ちだったかなんて


考えらんなかった


傷だらけの夜



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