━ Are You Happy ? ━

■美術室


校長が非常勤の先生を紹介し始めた頃

居ても立ってもいられず


私は体育館を出て

翔に電話をかけてた





翔との

何かしらの蟠りは

いつもこうして


自然に

すごく自然に

解消されたな…と

遅いけどね


この時気付いた








『もしもし…翔?』


『おはよ』


『…おはよ…

がっこ…来ないの?』


『…いるよ
学校に…』


『どこ…?』


『さぁ?…どこでしょう』











バカだね


わかるに決まってんじゃんか


私と翔は


似過ぎてて


気持ち悪いんだよ…














『みーっけ』





体育館を出て


真っ直ぐ向かった美術室に


翔は居た





『久しぶりだな』


『うん…』


『なんで連絡して来ねぇんだよ』





窓際にもたれて

フツー を装ってるけど

何故か翔の目は

赤かった





『なぁ ミカ?』





ナチュラルに

初めて

名前を呼ばれて

心臓が跳ね上がって








『俺らさ
付き合っちゃおうぜ』





投げやりな言葉に

心臓がぎゅっと締め付けられた








『なんか言えよ』





翔は

何も言わない私に歩み寄って

顔を傾け、近付けた





咄嗟に

私は顔を背ける





『…っんだよ
“うん” って言えよ』





ヤケになってる って

誰が見てもわかるくらい


そんな人に…


キスなんて


されたくないよ





『ここにはもう
せんせー いないよ』











『知ってるよ』











だったら尚更


嫌だよ





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