忠犬彼氏。

┣取り引き



「じゃあ先輩、取引しませんか?」

取引?

「具体的には?」

「そうですね、先輩は私の恋に協力すり。
私は先輩の過去をバラさない」

「確かにソレはおいしい取引。
だけど受ける訳には行かない」

「何でですか!?」

バラされても構わないわけじゃない。
だけど、私は他人に手をかすなんて真似絶対にしない。


過去のトラウマはいつも私に囁きかける。

――他人に手をかして何になる

と。

「私、他人に手をかさない主義だから」

「そんなこと言って後悔しますから」

紗耶ちゃんはそう言って走り去っていった。

後悔しますから、ね。


「さてと裏から手を回しますか」

裏と言っても樋山(兄)だけど。



柴との縁を切る。
簡単に言えばそういうこと。

私、最近柴と縁を切るなんて全然考えてなかった。

心境の変化?
柴なら平気だって?

気を緩めるな。


また、後悔するぞ。


< 134 / 204 >

この作品をシェア

pagetop