忠犬彼氏。


「羽柴 禀汰」

そう言ったのは私でもなく、柴でもない。


「だろ?」

誰。

「ひ、樋山(ヒヤマ)先輩!」

ひやま?
何か聞いたことある。


「何で青田が不思議そうな顔してんだよ」

好青年って感じだね。
うんうん。
陸上部って顔してる。

「誰」

「誰、ギャハハ!」

あ、美那都。
ここで笑うか!
ツボがわからん!!


「あんたねぇせめてクラスメートの名前くらいは覚えておきなさいよ」

「クラスメート?」

え、じゃあこのひ、ひや……ひ……君は、クラスメートな訳?


「えっと……」

「あは、知ってるよ。
青田、男の名前覚えてねーの」

「何で……」

そんな事知ってんだ?
ま、まさか、ス……ス……

「ストーカー!?」

「違うわ!!」

「あ、違うんだ」

「ってか何で知ってんの?」

「だってお前男にだけ異常に冷たいし、名前呼んでんの見たことねー」

あ、ああ……そんなことか。

< 18 / 204 >

この作品をシェア

pagetop