忠犬彼氏。
「柴にゃーん」
私の後ろに待機していた美那都がいきなり稟汰を呼んだ。
いきなりのことに少しビビってしまった。
「璃子にゃんをよろしくねー?」
こちらも馬鹿みたいにそう笑って稟汰にそう言った。
何をよろしく?、なんて聞かなくても薄々分かる。
「それじゃあここからは彼氏様にバトンタッチね。じゃ、璃子にゃん、また教室で!」
美那都はビシッと敬礼をしたあと、バタバタと走って行ってしまった。
「璃子先輩」
「ん?」
「何も、話さなくてもいい。それで俺は構わないんです。でも、悲しくなったら、辛くなったら、俺に飛び込んでくださいね」
私に告白して、その後相手にしたヤツは、稟汰が初めて。
もしかしたら、これはチャンスなのかもしれない。
そうだとしたら…………。
「私、稟汰を傷つける自信ある」
稟汰を見たら、苦笑いだった。
それもそうだよね。