忠犬彼氏。


「璃子せんぱーい!俺先生に捕まっちゃっ、て……?」

「し、柴にゃんバトンタッチ!」

「美那都行くよ!」

わたわたと二人は教室を飛び出していった。


取り残された、柴と私。

「あ、の先輩?泣いてるんですか……?」

否、困り果てる柴と涙を流す私。

「先輩じゃ、ないでしょ……」

「え?」

私を気遣う笑顔が柴の顔からみるみる消えていく。

「璃子って、呼んでたでしょ……」

わからない。
どうしよう……何がなんだかわからないな……。
頭の中がぐちゃぐちゃだよ。

「り、こ……」

なんだか安心する温もりに包まれた。
私を抱きしめるその腕を、私は知らない。

ダレ?

貴方の顔、よく見えない。
おかしいな……。

「璃子……」

あれ?こんな声高かった?
もう少し低かったような……。

「璃子先輩……」

先輩?

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