百もの、語り。

68.鏡像



鏡に映った自分の顔が、自分に見えないんです。


明らかに誰か、違う人。


なのに、家族と鏡の前に並んでみても、
友達と一緒でも、誰も変に思わないんです


絶対にあれ、私じゃないのに。



だからこの間、問いかけてみたんです。

鏡の向こうの誰かに。


「あなたは誰?」って。


そうしたら相手はニヤリと笑って、
それ以来、鏡には誰も映らないんです。


私はちゃんと、ここに居ますか?





ふーっ


68本目の蝋燭が消えました。


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