チャリパイ14~最後のサムライ!
国王が死去の後、強大な武力を行使して実質上の政治的な実権を手に入れたブタフィが、更なる権力を手に入れる為にイベリコとの政略結婚を企てている。
ところが、正式にはこの国の最高権力を持っているはずの王室が、ブタフィの武力を恐れて、この政略結婚の申し入れに対しなかなかはっきりと拒否の回答を返す事が出来ない。
そんな状況に深い憤りを抱いたロースは、独断でブタフィに抗議をする為に単身で軍司令部へと向かった。
しかし、それを最後にロースがイベリコのもとへと戻る事は無かった。
宮殿の侍従局には、ロースの処遇を記した紙切れが一枚……
その紙には、ロースを軍の規定に従い国家反逆罪者として『処刑』したと記されていた。
「この、人殺し!」
今まで胸の内に溜めていた怒りが、イベリコの中で爆発した。
「人の命を何だと思っているの!
アナタは…アナタは自分の権力を手に入れる為に、いったい何人の命を犠牲にすれば気が済むのよっ!」
しかし、イベリコにそんな罵声を浴びせられても、ブタフィは怒るどころかその顔に薄ら笑いさえ浮かべている。
「そうです、人殺しこそが我々軍部の主要任務なのです。きれい事ではこの軍のトップは務まらない!
それにだ……
私が誰でも殺すと思ってもらっては心外ですな。私も、利用価値のある人間をむやみに殺したりはしないのですよ」
ブタフィがイベリコに罵倒されてもなお、余裕のある表情を見せていたのには理由があった。
ブタフィは、意味ありげな笑顔でイベリコの方を見ると、おもむろに軍服のポケットから携帯電話を取り出し、その画面をイベリコに向けた。
「この画面に写っている映像はlive映像です。イベリコ姫、ここに写っている人物に見覚えはありませんか?」
ブタフィのその言葉に携帯電話の画面を見たイベリコは、驚愕に震えた!
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