チャリパイ14~最後のサムライ!
「本物のサムライ……?」
キョトンとした表情で、イベリコの顔を見るシチローとひろき。
侍に、本物も偽物もあるのだろうか?
シチローは、少し首を傾げたものの、イベリコの質問に対してこんな回答をした。
「う~ん……侍を見たいのなら、東京より京都の方が良かったなぁ~
太秦撮影所あたりなら、時代劇の撮影を見学出来たかもね♪」
シチローは、イベリコの問い掛けに的確に答えたつもりであった。
ところが……
「京都へは一昨日行ったわ!……けれど、あの侍はわたしの捜している本物の『サムライ』ではなかった……」
イベリコは首を左右に振りながら、残念そうに呟くのだった。
「えっ!本物のサムライって……もしかして、イベリコは侍がまだ日本にいると思ってるの?」
時代劇の侍が“偽物”だと言うのなら、本物とはまさに江戸時代に実在した侍という事になる。
「サムライはいないの?」
「日本に侍がいたのは、三百年も昔の話だよ……今の日本では、刀を持ち歩く事でさえ法律で禁止されているんだ!」
そのシチローの言葉を聞いてイベリコは悲しそうに俯き、ガックリと肩を落とした。
「そう……この国には、もうサムライはいないのね……」
「侍なんて捜して、一体どうしようと思っていたの?」
どうしても気になったその質問をイベリコにぶつけてみると、イベリコは遠くを見るような切ない瞳をして、呟くように言うのだった。
「強いニッポンのサムライに、わたしの国を救って貰おうと思っていたの……」
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