甘い笑顔のキミ
「…田中に先に抱きしめられてるなんてムカツク。」

私の髪に唇を寄せながらボソリと呟く。

そして腕に力が入り、ぎゅうっと痛いくらいに抱きしめられた。


苦しい……。
でも、田中くんの時とは違う。
胸がどきどきして、甘い感覚…。

そっと相川くんの背中に手をそえると、
抱きしめられていた腕から力が抜け、ゆっくりと体が離された。

急に感じる冷たい空気に寂しくなる。

「…ダメ。これじゃ、ほんとに襲いかねない。……まだ自分の気持ち、はっきり言ってないのに…。」

「…え?」

相川くんはそう言って顔をあげると、真っ直ぐ、意思の持った強い瞳で私を捕らえた。


そしてゆっくりと深呼吸をして、次の瞬間言われた言葉に、私の思考回路は一瞬で停止した。





「……俺、藤崎さんのことが好きなんだ。」
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