ゆびきり
「たっくん!ねえ!聞いてる!?」

ボーっとしていたら、
同じサークルの先輩がものすごく顔を近づけていた。



「なに?」


名前は知らない。
なんていうんだっけ?



「だから~ホントに綺麗な顔してるわね!っていったの!!」


「はぁ???」


僕が少し引くと先輩は上目遣いですりよってきた。



「彼女いるの?」


「いないよ。」


「あたしじゃダメ?」


「興味ない」


僕がはっきり言うのを聞いて
横にいたトオが水を噴出した。


トオは大学で唯一仲良くしているやつだ。

かなりいいかげんな奴だけど
何だか居心地が良く気がついたらいつも一緒にいた。


「トオ!きたない!」

僕が叫ぶと

「あんまり即答するから面白くって」

とクスクス笑う。


先輩はあきらかに気分を害した様子で
立ち上がって部室から出て行った。



出て行ったのを確認して。

「なにはともあれ助かったよ」

と一応お礼を言った。
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