【短編】2度目の初恋
まさかここまでとは。

待ち合わせて軽くランチをし、今話題のアクション映画を見て現在にいたる。


その間、ほとんどと言っていいほど会話がなかった。


私のほうは緊張もあってか思考回路がショートしている状態。
おかげで受け答えも挙動不審。



「………」
「………」



そんな様子に愛想をつかされたのか、映画館を出てからは会話がほぼゼロに近い。



気まずい。

来なければ良かったかな。

せっかく誘ってくれたのに、気分悪くさせちゃったのかな。





「…ちょっと化粧室に行って来るね」
「あ…あぁ…」


居た堪れなくなり、少し気分を変えるために化粧室に逃げ込む。


…なんでこんなに駄目なんだろう。


電話では普通に話せるのに。






彼が私を『すき』だと聞いてから。

そこから意識し出したと思う。


だが、その日からの記憶がまったくない。

ただ『すき』だという気持ちだけが膨らんでいった。




別に両思いでなくていいと思っていた。


ただ『すき』でいたかった。


それだけで、幸せだった。


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