束縛女 *短編*
束縛女



『……え……ほんとに?』

「うん……」



あたし何言ってるんだろう。
でも、これで良かったのかな。

亮馬とも別れたばかりだし、
これからもずっと晃くんだけ
好きでいればいい――。
今は好きじゃなくても、
これからどんどん好きになってけるはず。

好きじゃないのに。
こんな曖昧な気持ちで晃くんとは
付き合いたくないけど、でもこうすればいいと思った。
利用してるみたいでごめんね。



『……超嬉しい』



カーテンの隙間から見える
晃くんは電灯で少し照らされてて、
顔を赤くしてた。
そんな晃くんに、あたしまでもが赤くなる。



「……でも、あんまり春花とかに
言わないでほしいんだ」

『あぁ、俺も言いたくない』

「良かった。……じゃあ、今日はもう寝るね。おやすみ」

『あ、待って佑衣』

「へ?」



あたし、春花には「晃くんが恐い」とか言ってたんだ。
なのに付き合ったんだなんて聞いたら変になるし、
春花やみんなに相談したのも無駄になる。

嘘をつきたくないけど……、
これしかない。



『……好きだよ』

「っ……あたしも」

『寝る前に会いたい』



その言葉には
「あたしも」って言えなかったけど、
「分かった」と言って電話を切って外に出た。




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