ヒロイン 完
文化祭2日目
「おー!似合うじゃん!」



華の言葉を最初に女子は口々に黄色い声を上げた。


本日のコスプレ喫茶は浴衣喫茶になっていた。


もちろんメイドはいない。


ホストも仮装もない。


今日は男女揃って仲良く浴衣だ。



「へー、男子も浴衣似合うね」


「だろだろ?」



調子に乗って颯太君が寄ってきた。


近い、近い、近い。


こら、近いっつーの!



「てか神山の昨日と違くね?」


「うん。女子も気分転換にトレードしてみた」



私は昨日は緋色で、今日は深い藍色。



「てか、神山考えたなー。今日、全員浴衣にするなんて」



でしょ?ナイスだ自分。



「怒られるかなー?」


「んー、大丈夫だろ」



数秒、悩んだ彼はチラッと私に視線を移し言い切った。


は?



「何故に?」


「だって、お前まっちゃんの女だろ?」



はー?


私は馬鹿みたいに口を開けてしまった。



「おーい、口開いてんぞ?」


「颯太くん信じてんの?あの噂」


「え?違うの?」


「知らん」



まったく。


やんなっちゃうね。
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