桜の花びら舞う頃に
寄り添うようにして、その場を去ろうとした2人。




だが━━━





「まだ……終わりじゃねえっっっ!!」




その声に振り返ると、そこにはタイガーが立っていた。


「まだ、やれるのか……よ……」


思わず言葉が途切れる悠希。


立ちふさがるタイガーは、手に鉄の支柱を持っていた。


フレアが閉店時、駐車場にチェーンをかけ施錠するための鉄の支柱を。


その姿には、さすがのエリカも青ざめた。



「バ、バカタイガー! そんなので殴ったら、本当に死んじゃうでしょ!!」



しかし、頭に血が上ったタイガーに、エリカの声は届かない。




「死ねやぁぁぁぁ!」




獣の様な咆哮を上げ、悠希に向かって突進してきた。


「さくらちゃん!」

「きゃっ……」


悠希はさくらを突き飛ばす。


そして、自分もその場から飛び退いた。


次の瞬間、激しい音が鳴り響く。


先ほどまで悠希がいた場所に、鉄の支柱は振り下ろされていた。



「マジかよ……」



アスファルトの地面は、その力でくぼんでしまっている。


3人の間を、戦慄が通り抜けていった。


「あ、あたし、人呼んでくる!」


さくらはそう言って走り出した。











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