桜の花びら舞う頃に
「うらぁっ!!」



雄叫びと共に鉄の支柱を振り回すタイガー。


「お前、正気か!?」


悠希は叫ぶ。


「やめなってば、バカタイガー!!」


エリカも金切り声を出す。

しかし、タイガーの耳には届かない。

あるいは、届いてはいるが無視しているだけなのかもしれない。


「ちょこまかと逃げるんじゃねえっ!」


2人の言葉をかき消すように繰り出される支柱。

なんとかそれを避ける悠希だったが、タイガーの迫力に気圧されてか、思わず足がもつれてしまう。


「くらえっ!」


それをチャンスとばかりに、横殴りの軌道で支柱が襲ってきた。



「うわっ!」



間一髪、尻もちをつくように避けた悠希。

鉄の支柱は、悠希の頭の上をかすめて抜けていき、街灯の柱に当たった。

激しく散らす火花に悠希の顔が青ざめる。



(あんなのに当たったら……)



大怪我は免れないだろう。


「くそっ!」


悠希は立ち上がろうと地面に手をついた。



「つっ!」



悠希の手首に不意に痛みが走る。

どうやら、尻もちをついた時に手首をひねったようだ。

思わず手首を押さえる悠希、支柱を振り上げタイガーが立ちふさがる。


「くっ!」


痛みをこらえて後ろに下がる悠希。







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