桜の花びら舞う頃に
腕を組む悠希を、拓海が少し寂しそうな表情で見つめる。


「パパは……お仕事……忙しいよね?」


そんな拓海に、黄色い帽子をポンとかぶせると、悠希はしゃがみ込んだ。

拓海と同じ目線になった悠希は、ニコッと微笑む。


「大丈夫、パパは授業参観に行くよ」

「えっ、ホント?」

「ああ、本当。心配しなくて大丈夫だよ」


悠希は笑いながら、拓海の頭を帽子ごしに2、3回なでた。

途端に、拓海はいつもの明るい表情へと変わる。


「わ~、ありがとうパパ!」


嬉しさのあまり、小さく飛び跳ねる拓海。


「じゃ、行ってきまーす!」


そのままの勢いで、玄関から飛び出していった。


「車に気を付けろよー!」


走って行くランドセルに声をかける悠希。

その姿が見えなくなるまで見送ると、悠希は玄関の扉を閉めた。



「授業参観か……」



悠希はつぶやく。



「また、さくらちゃんに会えるかな……」











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