桜の花びら舞う頃に
香澄は悠希の頬を、更にマジマジと見つめる。


「で……やられたのは1発だけ?」

「はい……あっ!」


思わず素直に答えてしまった悠希。


「やっぱり喧嘩か~」


香澄は、全てお見通しという顔で微笑んだ。


「月島くん、元気があるのはいいけど……もう少し気を付けないとね」

「そうですね……」


香澄の言葉に、悠希は素直にうなずいた。




キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン




その時、2人の耳に始業10分前を告げる予鈴が聞こえてきた。


「香澄さん!」

「いけなーい! 月島くん、詳しくは後で聞かせてね!」


そう言うと、2人は走り出した。




(朝、香澄さんと会うと、いつも走ることになるな……)




悠希は、走りながら苦笑していた。








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