桜の花びら舞う頃に
「じゃ……じゃあ!」




「じゃあ、うちでご飯食べていきなよ~!」




しかし、その言葉を口にしたのは悠希ではなかった。



「た~!?」



言葉を奪われ、唖然とする悠希。

さくらはしゃがみ込むと、微笑みながら拓海に話しかけた。



「うん、でもね……」




(ああ……やはりダメか……)




現実は、そうは甘くない。





そう思った瞬間、さくらの続く言葉に悠希は耳を疑った。



「でも、た~君のパパが何て言うかな?」




(えっ? それって……)




思わずほうける悠希に、拓海は振り返った。


「パパ! いいよね?」

「あ……ああ、もちろん!」


悠希は、少々うわずった声で答えた。


「ねっ、先生!」

「うん……」


さくらは拳を縦にし、少し考えるような素振りを見せる。



「じゃあ……ちょっとだけ、お邪魔しちゃおうかな!」



そう言って、さくらはクスッと笑った。


「やったー!」


拓海は喜びの声を上げ、さくらの胸に飛び込んでいった。


悠希も、そんな拓海に続きたい気持ちでいっぱいだった。










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