桜の花びら舞う頃に
少しぬるくなってしまった2本目のビールを一気に飲み干すと、部屋の明かりを消した。

ソファーは拓海に占領されているため、悠希は床に横になる。

床とはいえ、フローリングの上にふかふかのカーペットを引いているため冷たくはない。


悠希は自分の布団をかぶり一伸びする。


「今日は色々あったな……」


そう言いながら、今日の出来事を思い出そうとするが、すぐに睡魔が襲ってきた。


瞳をとじた悠希はつぶやくように言った。


「……俺は、由梨と色々な思い出を作ってきた」


瞳はとじたまま、布団を口元まで引っ張り上げる。



「……そしてこれからは、拓海とたくさんの思い出を作っていくんだ……」



明かりを消した部屋からは、いつしか2人の規則正しい寝息だけが響いていた……




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