桜の花びら舞う頃に
悠希はそう思い、できるだけ優しい声で拓海に話しかけた。


「まぁ、気にするな。間違いは誰にでも……」

「……パパ!」


拓海は悠希の言葉をさえぎる。

そして顔を上げ、真剣な瞳で真っ直ぐ悠希を見つめてきた。


「パパ……このことは……」


「ああ、わかってるよ」


「このことは、僕、誰にも言わないからね!」



(……ん?)



予想外の言葉に戸惑う悠希。


「た~、それはどういう……」

「パパ、気にしないで! 大人だって、おねしょする時もあるよ!」


拓海は優しい笑顔で悠希に話しかけてくる。


「い、いや、ちょっと待て、お前……」

「パパがおねしょしたこと、誰にも内緒にしとくからね!」


グッと親指を立てる拓海。



「……おねしょしたのは……お前だーっ!!」



辺りに、悠希の大きな声が響き渡っていった……




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