桜の花びら舞う頃に
次の日━━━




「あれ? パパ、もう大丈夫なの?」


スーツに着替える悠希を見て、拓海が声を上げた。


「ああ! もう大丈夫、ありがとう!」


そう言って、悠希は力こぶを作る真似をする。

そして、ふと部屋にある鏡に視線を向けた。


鏡に映る自分の顔。

その唇に、そっと指を当ててみる。



「昨日の、さくらちゃんの治療が効いたのかな……」



そう言って、照れたように悠希は笑うのだった。








一方、さくらは━━━



「……はっくしょーん!」



部屋の中に、大きなくしゃみが響き渡る。


「悠希くんの風邪……本当にうつっちゃったみたい……」


しかし、けだるい身体とは裏腹に、心の中は満たされているさくらだった……



「悠希くん……お見舞い来てくれるかな……?」












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