桜の花びら舞う頃に
そして……







「私……月島くんのことが好きよ……」







「はい……はいっ!?」


不意の告白に、悠希は目を見開いて香澄を見た。


「そ……そんなに驚かないでよ! ……恥ずかしくなるじゃない」

「だ……だって……香澄さんが突然……」


まだ、目を白黒させている悠希に、香澄はクスクス笑う。


「私ね……ずっと前から、あなたのこと好きだったのよ」

「き……気付かなかった……」


悠希は、驚きを隠せない。


「でしょうね……月島くん、優しい人だけど、少しニブいから……」






でも……


そんな、あなただから


私は好きになったのかもしれない……






香澄は、心の中で付け加える。


「香澄さん……いつから俺のことを……?」


まだ、どうしていいかわからない様子の悠希。



「さあ? ……忘れちゃった!」



香澄は、飛ぶようにベンチから立ち上がる。

そして、笑顔を浮かべて悠希を振り返った。



「返事は……」



一瞬、さくらの顔が浮かぶ。



「……返事は、今月末の3連休の真ん中に聞かせて!」



そう言うと、香澄は砂場に向かって走り出した。



「わ~、た~ちゃん凄いねぇ!」

「あ、香澄ちゃん! 一緒にやろ~!」

「よ~し、香澄ちゃん上手いんだぞ~!」



笑顔を見せ合う2人。

それとは対象的に、悠希の心には嵐が吹き荒れていた。




「俺は、どうすれば……」




さくらの涙


香澄の告白



2つの出来事が、悠希の中で激しく渦巻いていた……











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