桜の花びら舞う頃に
玲司はリース会社で営業をしている。

各得意先を回り、様々な機材や設備など、先方が必要としているモノの賃貸契約を取ることが仕事だ。

話に上がっているお気に入りの子は、玲司が担当している会社に最近配属された。

以来、玲司は執拗にアタックし続けていたのだ。


「そのかいあって、今度一緒に食事をする約束を取り付けたのさ」

「おめでとう……と言っていいのかな」

「いや……今回のはまだ、これからだ」

「今回のはって……」


いったい何人に声をかけているんだ?

そう言おうとして、悠希は言葉を止めた。

玲司が手で制したからだ。


「あ……あれ……? ま、まさか……」


いつになく真剣な表情の玲司。

その表情には、驚きと喜びが入り混じっているように見える。


「……やっぱり……間違いない!」


玲司は勢いよく立ち上がると、大きく手を振った。


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