桜の花びら舞う頃に
第52話『深愛~only one~』
振り返る2人の前に立つ女性。

年の頃は50代後半といったところ。

ふくよかな体系は、その女性の優しさがにじみ出ているようだ。



「校長先生……どうして、ここに?」



さくらは、恐る恐る尋ねる。


「……この海には、ちょっと思い入れがあるのよ」


そう言って、校長先生は寂しく微笑んだ。



「それよりも……」



校長は、不意に真剣な顔つきになる。


「隣りの方は、綾瀬先生のクラスの、拓海くんのお父様ね?」

「こ……こんにちは! いつも、拓海がお世話になってます!」


あわてて頭を下げる悠希。

校長も一礼すると言葉を続けた。


「お2人は何を? ……それに、先ほど手をつないでいたように見えたけど?」






━━━バレてる!






悠希とさくらの胸は、ひときわ大きく脈打った。


校長は、まじまじと2人の顔を見つめた。

冷たい汗が、背中を伝う。



「あなたたち……まさか!?」



校長が口を開いた瞬間……




にわかに悲鳴が響き渡った。








「子供が、海に落ちたぞーっ!!」








「えっ!? ……まさか!!」


「た~君!?」




2人は、弾けるように駆け出した。










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