桜の花びら舞う頃に
2人の声は、病室の扉の前に立つさくらにも聞こえていた。


さくらは、壁にもたれると、ずりずりと腰を落とした。






涙が━━━

止まらない。






2人の気持ちが嬉しくて



2人の愛が温かくて



涙が、後から後から溢れてくる。







今、思うと……

2人は、はじめから求め合ってたような気がする。






互いの心の隙間を埋め

闇を照らしてくれる存在を……






「ありがとう……本当にありがとう……」






外は、雪が降っていた。



雪は、どこまでも白くて……



この世界を、優しく包んでいく。











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