天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜
俺は鞄を掴むと、カウンターにいるマスターの所へトボトボと歩いていった。


そして財布をポケットから出すと、


「今度でいいですから、早くこれを持って彼女を追い掛けなさい」


と、マスターは2本のビニール傘を俺に差し出した。


柚子ちゃんも傍にいて、「そうよ、そうよ」と言っていた。


俺は「いいんです」と言い、財布から紙幣を出してマスターに渡した。


「喧嘩ですか?」


「ええ、まあ……」


「時には喧嘩もいいけど、早く仲直りしてくださいね? あんないい子を、いつまでも泣かしちゃダメですよ」


< 312 / 388 >

この作品をシェア

pagetop