天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜
武田の言う通りなので、俺は椅子に座り直した。


「麻衣ちゃんも早退したかもしれないしな。瞳子さんみたいに」


そうしてくれてればいいなと、俺も思った。


「お前も帰ったらどうだ?」


「いや、俺は大丈夫だ。仕事があるし」


「そうか」


俺達は、いつのまにか来ていて、氷が解けて層が分かれたアイスコーヒーをストローで掻き混ぜ、一口すすると、どちらからともなく、ハァーとため息をついた。


そして、おもむろに武田が呟いた。


「瞳子さんが心配だなあ……」


と。


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