夢と恋と王子様
なんだか
足が動かなかった。
あの場所へ行って
正々堂々と三宅琴乃に
立ち向かいたかった。
なのに
なのに
動けない。
藤岡勇志は
私だけの
藤岡勇志じゃない。
「……………。」
だって先輩は
好きともなんとも
私に言っていない。
情けない。
来た道を戻ろうと
うつむきながら後ろをむいた。
「恵梨?」
視界には
先輩が立っていた。
「あ……」
「図書室行かないの?」
「………あ、はい…
やっぱり今日は……
やめとこうかなっ…て…」
「………そっか。」
残念そうな顔をした先輩は
またね、と言い
図書室へ向かって行った。