青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


調子がいい奴だと呆れるものの、ヨウは否定を口にしなかった。

唯一“友好的”に協定を結んでいる、自分が認めたチームなのだ。

奴等に何かあれば、文句垂れながらでも手を貸すだろう。


「楠本にしても、榊原にしても、なんで擦れ違ったのか…、こんなことになっちまったか…、未だに自問自答する俺がいる。
同じ人間が集っているわけじゃねえ。
意見が食い違うのも当然あるわけだが、だからってこんな険悪な関係になっちまうとはなぁ」

「俺も似た経験しているから、気持ちは分かる。ヤマト達と未だ関係は最悪だ」

 
「おめぇ等はまーだマシになっただろうよ。俺達は各々チームの在り方や居場所のことで揉めに揉めて、チームは分裂。榊原は蒸発しちまうし、ついに楠本のような復讐鬼も出てきた。
これからも繰り返すんだろうな。こうして辛いことばっかあるとリーダーなんざ、降りちまいてぇって思う時がある」

 
けど降りられねぇんだような、俺はリーダーだから。
 
「ムズカシイな」ぼやく浅倉に便乗し、「ほんとにな」ヨウは同調を示した。

浅倉は続け様に、「どっかで」これで良かったって思う自分もいる、と吐露する。


それはどういう意味か、ヨウが横目で浅倉を見やる。


「もしも」浅倉は宙を見つめながら煙草を銜えた。


「楠本と蓮が逆だったら、多分おりゃあ心底楠本を恨んでいたに違いねぇ。
俺はもうヤなんだよ、でぇじな舎弟になんかあるの。懲り懲りだ。

―――…だからどっかで榊原を恨む気持ちを抱いていたりするわけだ。分かり合いたい一方、蓮や仲間達を引っこ抜いた行為は未だに許せないでいる。
傍で支えてくれた涼や桔平がいなかったら、それこそ感情のままに暴走していたかもしれねぇ。楠本のように」

 
俺って馬鹿だから、すぐに感情的になっちまう。下手すりゃ楠本のようになっちまうんだろうな。


「他人事には思えねぇ」


浅倉の独白に近い吐露に、ヨウは間を置いて煙草を吸う。


複雑な念が胸を占めた。

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