青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「浩介か」片頬を崩してくる不良・シズに、「こんにちは」と挨拶。

次いでシズの持っているコンビニの袋に目を向けて、「お菓子一杯」静馬兄ちゃんって本当に食べることが好きなんだね、と笑みを向ける。


彼が大食らいなことは泊まりに来る度、再認識されるのだが本当にシズはよく食べる人間だ(そしてよく寝る人間でもある)。


するとシズは困ったように笑って、「全部食べられるかは」分からないけどな、と返答。


浩介は冗談だと思ったが、シズの方は癖で買い込んでしまったが本当に食べきられるかどうか分からないと言った顔を作っている。


微かに陰りが差している表情だが、付き合いが浅いためか、浩介が気付くことはなかった。


「あ。そうだ。静馬兄ちゃん、これから兄ちゃんに会う?」

「たむろ場…、に戻るところだしな。ケイは…そこにいると思うが、兄ちゃんに用事か?」

「え、あ、うん。ちょっと言付けを頼まれて」
 

歯切れ悪く返答する浩介に首を傾げながらも、シズは「一緒に行くか?」と誘ってきた。

二つ返事で行くと答える浩介に、シズはじゃあ行こうと目尻を下げてくる。


兄の友達イコール、好い人達と勝手な図式がある浩介はたむろ場に行ける事が嬉しいと思う反面、兄の伝言についてやっぱり溜息しか出ない。
 

変わらぬ重い足取りでシズと共に浩介はスーパー近くの倉庫裏、別名荒川チームのたむろ場まで赴く。
 

シズの言うとおり、そこには確かに兄はいた。

不良達と駄弁っていた兄の下まで行くと、


「ゲッ。浩介!」


兄は心底嫌そうな顔で浩介を見やる。

周囲にいる兄の友達達は、「あ。浩介じゃん」とか「ケイさんの弟さんッスか?」とか「地味なところとか似てるぴょーん」とか、各々感想をくれる。


中には兄の彼女もいたので、

「こんにちは。兄ちゃんとラブラブしてますか!」


と元気よく挨拶。
大真面目に挨拶したのだが、彼女は赤面し、周囲は笑声、兄は頬を紅潮させながら自分に拳骨を落としてきた。

「い、痛いよ兄ちゃんっ。酷いっ、酷いわ、これはDVよDV!」

「ンマー、お兄ちゃんの愛が分からないの? 浩介ちゃん!」
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