青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
人とぶつかりそうになったキヨタの足が減速する。
狙うなら今しかない、俺はどうにかキヨタの腕を掴んで弟分を捕まえた。
腕を振って抵抗するキヨタに、
「ほかには…ないのか」
俺は肩で呼吸しながら、切れ切れに尋ねる。
動きを止めて困惑する弟分に、「他には?」不満があるなら言え、全部聞くから、俺はキヨタに告げた。
「俺は馬鹿だから、お前が何に苦しんでどうして欲しいか。ちゃんと聞かないと分からないんだ。
何言ったって俺は怒らないし、お前を嫌わない。お前は遠慮せずに言え」
「ケイ…さん」
「確かにお前と俺は成り行きで兄弟分になったよ。
お前が俺の弟分になりたいって言ってきてくれてさ。
俺、ジミニャーノだし、ヨウの舎弟で手一杯だし、不良を弟分にできるのか? って思ったけど。
でも、お前が事件に巻き込まれて、俺…、居ても立ってもいられなくなった。
悪いけど、お前を殴ろうとしていた不良には殺意さえ湧いたさ。だってお前は俺の大事な弟分だから」
言っただろ、俺はお前以外の弟分は作らないって。
それだけお前を大事にしているんだ。
それは知っておいて欲しい。
「だから言えよ」
大事だからこそ、お前の本音、ちゃんと知っておきたい。
俺の言葉に呆けていたキヨタは、くしゃっと顔を歪めて、
「どうしてケイさん…」
そんなに優しいのか、意味が分からないと呟いた。
褒めてくれているのか、貶してくれているのか、判断に困る台詞だな。
ふるふると体を震わせ始めるキヨタは、ワッと声を上げて泣き出す。
これには俺もギョッと驚くしかない。
ちょ、待てキヨタ。
確かに俺は他に何か言いたいことがあれば言えと言ったけど、此処は街中だぞ。一端の男子高生がいきなり声を上げて泣くって。
いや泣くのが駄目とかじゃなくてだな!