青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「なんであんより名前が売れているんだっ! パシのくせに、パシのくせにぃい!」
胸倉を掴まれた俺は矢島にがくんがくんと揺すられる。
アイダッ、アイダッ!
そんなに強く揺すらないで!
お、俺、重傷人っ、まだ怪我が完治していなっ、イッデェエ!
ついでに息が苦しいっ、苦しいですっ。
ジリジリと詰め寄ってくる美形不良に俺はタンマを連呼して、どうにか落ち着いてもらおうと躍起になった。
動きを止める矢島は、何か言い訳でもあるのかと睨んでくる。
言い訳もなにもドチクショウもねぇやい!
俺は何も悪いくないっ、名前なんて売れたくて売れたんじゃねえぞド阿呆!
「あ、あの、俺…、ヨウの舎弟なんで自然と名前が売れてしまうんですよ。別に俺は特別なことなんて」
「ということは何か? 荒川が活躍している。だから貴様はのうのうと恩恵にあやかっていると?」
なーんでそうなるんだ!
寧ろとばっちりが、俺にはとばっちりが飛んできてだなっ!
「貴様はそれでも不良か! 人の名前を利用し、その恩恵にあやかっているとは! 不良の風上にも置けない奴だっ」
おーまえは俺の名前を騙ったよな! 忘れたとは言わせないぞ!
偽田山圭太その1事件を起こしたよな!
ちなみにその2は里見達な!
くっそう、どいつもこいつも俺の名前を騙りやがって!
俺の名前を騙りたいなら、まず更生しちまうんだな!
それだけで田山圭太の道は切り拓かれる!
とかなんとか思っている場合じゃない。
なんとかこいつを宥めないと!
「や、矢島さんっ。落ち着いてっ、此処は保健室っ…、静かにする場所です! っ、いや、多分今は俺と貴方様しかいないでしょうけど」
「ならいいな。あんとゆーっくり話ができる」
俺はゆーっくりと寝たいんですけどっ、じゃ、じゃあこれだ!
「あ、アイタタタ…、体が…、お、俺、これでも重傷なんですよ。なので休ませて下さい」
「本当に重傷なのか?」
見りゃ分かるだろう!
この頬に貼られたガーゼと腕の包帯を見てみろ!
可哀想なくらい痛々しいだろ?!
それに胴体には痣やら湿布やら、背中には根性焼きの痕やらっ、俺、鉄パイプで殴られたりもしちゃったんだぜ!
真面目に体が痛いんだけど!
お前だっていっちゃん最初に酷い怪我って言ってたじゃないか!