一途に IYOU〜背伸びのキス〜


「……久しぶり、椋ちゃん」


あと、2メートルくらい。
ずっと、もっと近くをうろちょろしてたから、物足りない距離。


けど、これ以上近づいたら……。
あたしはきっと、これから言おうとしてる言葉を無視して、本心を言っちゃうから。

地面に足の裏をくっつけて、ぐっと力を入れた。


「見にきてくれると、思わなかった。
平日なのに……パパもくるし。
パパと椋ちゃんが抜けて、会社大丈夫なのかなって心配だよ」


久しぶりの椋ちゃん。
久しぶりの会話。


今までは当たり前だった事なのに、緊張してドキドキしてた。







< 156 / 342 >

この作品をシェア

pagetop